「JR関西線とJR四日市駅の高架化」を実現するためには何が必要なのか?

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今回は、四日市市の中心市街地をさらに活性化させるために効果的な「JR関西線とJR四日市駅の高架化」と、その実現に向けた課題を簡単に考察します。

近鉄四日市駅とJR四日市駅の温度差

四日市市の玄関口と言えば近鉄四日市駅、というのは訪れたことのある方ならおなじみでしょう。駅には近鉄百貨店が併設、駅前には商店街や市民公園があり、目抜き通りである中央通りにはオフィスビルやマンションも多く建ち並びます。

中央通りより近鉄四日市駅を臨む

ところが中央通りを東に進んでいくと、市役所を過ぎたあたりから車通りが大きく減ってしまいます。東側の終点がJR四日市駅。駅舎は昭和時代のまま止まっている雰囲気ですし、その駅前は閑散としたものです。いちおう名古屋駅までJR関西線で一本、時間も早ければ30分ほどで着いてしまい、しかも特定運賃で近鉄名古屋線の4分の3ほどの運賃なのですが、いかんせん本数が少なくて利用者が増えていきません。

JR四日市駅周辺の現状

さて昭和の雰囲気を残しながらもJR関西線の東海地区では主要駅として扱われる四日市駅ですが、近鉄名古屋線と異なり地上を走ることから、以下に挙げるような問題がどうしても発生します。

踏切が多い

海蔵川を渡ってからJR四日市駅を通り中央緑地の手前まで、車が通れる踏切は5つあります。中には国道164号や諏訪新道線、塩浜街道といった主要路線もあり、踏切が一日を通して渋滞の原因となっています。

踏切の遮断時間が長い

踏切の遮断時間も長いです。JR四日市駅は貨物駅でもあるので、長編成の貨物列車が通ることも多いためです。また、諏訪新道線のように駅に近い踏切は、駅に列車が停まった時点で踏切が鳴ってしまい、遮断器がさらに長く下りることになります。

国道164号の踏切。しばしば長い渋滞が発生する

JR関西線の高架化の意義

現状から明らかなように、問題点は「交通量の多い道路に踏切があり遮断時間も長いため、渋滞が発生していること」であり、課題は「踏切の廃止もしくは遮断時間削減による道路交通の円滑化」です。渋滞は経済的損失の大きい現象であり、道路交通の円滑化による経済的なメリットは一般的に大きいです。

この「踏切の廃止」を一気に解決できる対応策が、連続立体交差事業によるJR関西線およびJR四日市駅の高架化です。すでに高架化されている近鉄名古屋線の近鉄四日市駅と同じように、四日市市の新たな玄関口となれる可能性を秘めています。

高架化の効果(シャレじゃないですよ)はこれだけではありません。中心市街地の目抜き通りである中央通りは、東はJR四日市駅前で止まっていますが、駅が高架になることにより、さらに東に延伸して国道23号と接続することも可能となります。四日市港エリアまでの最短ルートになるので、近鉄四日市駅からの観光にとってもメリットがあります。この中央通りの延伸は、四日市市として検討している様子はホームページなどからはうかがえませんでしたが、十分に考慮に値するでしょう。

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加えて、JR四日市駅の建て替えも実現することができます。駅舎はかなり古く耐震基準を満たしているか怪しいため、高架化を機に駅舎を建て替えることは、防災上のメリットも大きいと考えます。

高架化を実現するために必要なこと

ではJR関西線とJR四日市駅の高架化を実現するために必要なことは何でしょうか。連続立体交差事業費の確保や、JR東海と自治体の合意など一般的な事項はもちろんですが、JR関西線とJR四日市駅の高架化に特有の事項は「貨物駅の移設」に尽きます。

現状でも述べたように、JR四日市駅には貨物駅もあります。関西線の待避線のような形で4本、さらに東に留置線の形で10本以上の線路があり、これを全て高架とするのは事業費の面から現実的ではありません。そこで、この貨物駅の機能を別の場所に移転することで、事業費の削減が図れ、事業の実現性が向上します。さらに、貨物駅跡地に別の施設を誘致すれば、そこを拠点に人を呼び込めるかもしれません。

JR四日市駅から撮影。手前の1本はJR東海の線路だが、そこから奥はJR貨物の線路と貨物ヤードだ

この点は四日市市も考慮しているようで、貨物ヤードの移転用地としてすでに羽津古新田という農業用地主体の地区を一部取得しているようです。

あと、JRから東側の古新田側ですが、こちら、先ほどからお話に出ておりますけれども、JRの貨物ヤードの移転ということで土地を取得しておりますが、この道路用地全てが公共の用地になっているわけではございませんので、一部取得が必要というような形になっております。

第60回四日市市都市計画審議会・議事録

貨物駅の移設に向けての課題

つづいて貨物駅の移設についての課題です。一つが「JR貨物との合意」です。これについては、やはり四日市市も考慮してすでにJR貨物と協議しているようで、古いですが平成11年の会議でJR貨物も移転に前向きである旨に触れられていますので、問題なさそうです。先ほど紹介した羽津古新田ですが、確かに霞埠頭に近いですし、富田山城線(三重県道64号上海老茂福線)は山側の工業団地に直結しているので、そこへ連絡しやすいのは、貨物輸送には魅力的ですね。

〔委員〕
「貨物駅移転に関して、JR貨物の意見は具体的にあるのか。」
〔事務局〕
「JR貨物としては、今の貨物駅が老朽しているため新しく施設更新を行いたく、移転には概ね了承しているが、ただ、JR貨物は赤字会社のため、自ら新たに投資しての移転は難しく、事業による補償費で対応したいと考えている。
 JR貨物にとって、四日市は全国で11番目の取り扱い量で大切な営業場所であって、移転候補地は霞埠頭にも近く、富田山城線にも連絡できるためJR貨物にとっては好条件と考えている。」

みなと・まち市民会議 第5回議事録

また別の課題は「新貨物用地の取得」です。すでに羽津古新田の農業用地を一部取得していますが、虫食い状態での取得ということで、なかなか所有者との合意が取れていないのかなと察します。さらに、先ほども紹介した都市計画審議会の議事録によれば、ある事業者が四日市市とは別に土地を買収したいという意向を示しているとのことで、もしそうなれば貨物用地としての活用は(少なくとも短中期的には)絶望的となります。個人的には、高架化に欠かせない貨物ヤードの移転用地はここくらいしかないでしょうから、ある事業者には別の場所で我慢いただきたいところです。

この羽津古新田のエリアの中の約半分くらい、市の方が虫食い状態で取得しておるところなんですけど、それ以外の個人地の大半のところについては、ある事業者がそこを買収して、何がしかの事業をしたいという意向を示しているというところもございます。

第60回四日市市都市計画審議会・議事録
羽津古新田の広大な農業用地。左がJR関西線、右奥に見えるのが四日市ドーム

まとめ

四日市市の中心市街地がさらに活性化するには、連続立体交差事業によるJR関西線およびJR四日市駅の高架化の実現、主要道路との立体交差化が非常に効果的と考えます。高架化のために大きな障害となるのが貨物駅の存在であり、その移転が事業前進には不可欠と言えます。貨物駅跡地を別の拠点施設にすることもできます。

四日市市としても上記は承知済みで、せっかく新貨物用地の一部を取得したのですから、投入した財源を無駄にしないためにも、このまま全面的な取得を達成し、貨物駅の移設、ひいては事業の実現を目指していただきたいところです。

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