実務補習2回目の感想~本当の始まり

中小企業診断士

このブログでは、ごく普通の30代男性会社員が9ヶ月と長期の育休取得し、 その期間も生かして独学で中小企業診断士試験に合格した体験を発信しています。

今回は、令和4年2月に参加した中小企業診断士実務補習の2回目です。
だんだん実務補習らしくなってきました。

初めてにしては平和に終わった1回目は、以下の記事をご覧ください。

はじめての実務補習
中小企業診断士の登録に向けた最後のハードル、実務補習が始まりました。実務補習の概要と、第1クールの感想を紹介します。

実務補習とは?

実務補習とは、中小企業診断士試験合格者(もしくは登録更新希望者)が4~6人程度のチームを作り、実際の中小企業を対象に経営診断・助言する実務経験を積む場。
1社につき5日間ですが、診断士登録には15日間の実務が必要になるため、合計3クールを経験するパターンになります。

私は3月まで育休ということもあり、令和4年2月の15日間コースに申し込みました。
5日間×3クールを1ヶ月半で消化することもあり、クールごとのインターバルが短いのが15日間コースの特徴ですが、

そのほかの地区は実務が金・土・土・日・月でクールごとのインターバルが火・水・木の3日間であるところ、名古屋地区だけ実務が木・金・土・日・月なのでクールごとのインターバルが火・水の2日間しかないという謎のハンデに苦しめられることになります。

また年度によって異なるそうなのですが、今回は計3クールとも同じメンバー4人でチームを組みます。

中小企業診断士・実務補習にあたっての準備と心得
実務補習で得られるもの、気をつけなければならない準備と心得を紹介します。実務補習を受ける予定の方はぜひ参考にしてみてください。

実務補習第2クール・準備

13日前〜7日前:担当決めと概要共有

第2クールも同様に診断士の先生が指導員として付いてくださいますが、最初の連絡は13日前第1クールの2日目でした。すでに情熱を感じます。
第1クールの先生は3日前連絡だったので尚更

その後も毎日のように企業情報や写真などがバンバン送られてきます。
気になって報告書の作成の合間に覗いてしまう。。。
これは先生の計画通りか。

担当は経営戦略・営業戦略・労務戦略・財務戦略、第1クールと同じ4つでした。
第1クールは財務を担当したので何となく労務を希望し、その通り労務担当になりました。

3日前:先生と顔合わせ

第1クールの最終日、名古屋地区の場合は第2クール開始3日前ですが、なんと第2クールの先生が事前に挨拶したいとのことです。抑えきれない情熱。
修了式の後に診断協会の近くのカフェで顔合わせです。
そして早速診断先企業の中身や問題点を熱く語ってくださいます。
バイタリティを体現したような先生です。

30分ほど語り尽くしたあと、先生は飲み会を3件ハシゴしに去っていきました。

3日前〜前日:財務諸表などの共有

第1クールが終わってからは、財務諸表が送られてきます。
初日までに財務分析しておかなければならない財務担当は特に大変です…。

労務としては従業員の構成など実際にヒアリングしてみないと問題点がわからないので、この時点では企業の概要を確認し、ヒアリング項目を整理するにとどめます。

すでに述べた通り名古屋地区だけインターバルが火・水の2日間しかないのですが、文句を言う暇もなく、第1クールの疲れを癒やす暇もまたなく、その日は訪れます。

実務補習第2クール・本番

1日目:終わらないヒアリング

第2クールは名駅エリアではなく、そこから30分ほど電車に乗ったところにある先生の事務所が拠点です。
家を出る時間は早くなりましたが、診断先企業は先生の運転する車で10分ほど、しかもヒアリング開始が11時ということで、これは早く終わりそうだ!と安心していたわけです。

ところが出発前、先生より驚きの一言。
明日もヒアリングの時間を取ってもらっているので、今日整理して追加で聞きたいことがあればそこで。」

え?ヒアリングって初日に一回だけじゃないんですか?
雲行きが怪しくなってきましたが、とにかく診断先のヒアリングへ。

13時過ぎに区切りがつき、午後まるまるSWOT分析なら余裕ありそうだな、と思った矢先、またも先生から衝撃発言が。
「それではまた後ほど追加の質問に伺います。15時半でいいですか?」

はい!?今日のうちに二度目ですか!?

なんというか頭から冷水を浴びせかけられたような衝撃でしたね。

そのあと遅い昼食を取って14時過ぎに事務所に戻り質問と回答を軽くおさらい。
チームメンバーに問いかけたつもりでも先生が真っ先に返答する熱い展開が続き、時間も短いせいか整理もそこそこに、15時半に二度目の訪問。
何とか情報を聞き出していき、17時ごろ終了。

そして先生から、
「では明日もよろしくお願いします。10時半でいいですか?」
あっ、明日もヒアリングするのは変わらないんですね…。

さて事務所に戻ってきて、17時過ぎからSWOT分析です。もう定時過ぎてるやアハハ。

SWOT分析って重要なのはわかっているんですが、一人ひとり挙げていく形だとかなり時間かかるんですよね。
しかも社長が自社のSWOT分析した資料なんてくれちゃったもんだから、その答え合わせみたいなイベントが始まってしまい。
「これって本当に機会?脅威では?」と誰かが言えば「それは明日ヒアリングで聞きましょうか」と先生が答えるという一連の流れ、10回くらいやりました。

あまりの展開に痺れを切らして私が「すみませんが子どもの寝かしつけがあるので私だけ先に20時で帰らせてもらえますか?」とリーダーに頼むと、それを合図に一斉に帰り仕度を始める全員。
なんだみんなも早く帰りたかったんだ!

というわけでSWOT分析も完了していないまま20時に初日が終わりました。

21時半ごろ家に帰ると、眠そうな長男、なぜか元気な次男、疲弊した妻が私を出迎えてくれました。
普段は私が担当のお風呂まで妻が一人でやっていてくれました!
本当にありがとう、そしてごめんなさい。。。

以上、育休中で仕事から長く離れていた身には、夜遅くまで厳しい一日でした。
初日はまだ家で作業がないのがせめてもの救いでしたね。

2日目:続・終わらないヒアリング

睡眠が足りず眠い目をこすりながら2日目の実務に向かいます。
この日は10時半からヒアリングなので、おさらいもそこそこに診断先企業へ出発。

さすがに3回目ともなると、聞くことが細かくなってきますね。
社長のSWOT答え合わせを中心に、報告書に少しでも生かせるよう質問を絞り出します。
最後に報告書の表紙用の写真を社長と撮って12時ごろおしまい。

ついに情報収集が終わったので討議に入っていくわけですが、この日はメンバー同士の意見交換や方針決定がスムーズに進みました!

討議が始まって間もなく先生が他の仕事で雲隠れしたことと関係があるような気がしないでもないですが、深く考えるのはやめておきましょう。

方針としては、家族経営の企業にあって二代目社長の自社に対する思いの強さを武器に、他社にないサービスで差別化を図り、高付加価値化で収益性を向上させる、長期的にはM&Aや戦略的提携で規模を拡大させる、という流れで決定しました。

そしてそのためには「営業人材育成」「社長の片腕=将来の後継者の確保」「経営企画力を発揮する体制構築」を提言の柱としました。
いずれも労務戦略ですね。主役はいただきました。

遠方から参加しているメンバーが今日中に帰るため18時には解散したいと言っていたのですが、あまり焦ることもなく2日目の討議は終了を迎えました。
先生、雲隠れありがとうございました!

この日は20時前には家に帰れたので、長男と次男のお風呂を私が入れることができました。
もちろん昼間はワンオペ育児なので妻には引き続き感謝です。

2日目と3日目の間:まったり報告書の作成

各自が頑張るターンです。
我が家は、長男はテレビを観たりおもちゃで遊んだりと一人で時間をつぶしてくれるのと、次男は抱っこひもでおんぶするとよく寝てくれるので、眠った次男を背負いつつ長男の話しかけに相槌を打ちつつ報告書を作成するという技もすっかり定着してきます。
普段がんばってくれている妻には一人別室で羽を伸ばしてもらいます。

この状態で部屋をうろうろすると秒で寝ます

先生から進捗あるなしに関わらず毎日共有しなさいとのことで、私は寝る前22時くらいにアップしていました。
ところがほかのメンバーが0時とか1時とか3時にアップしてくるので何とも言えない気持ちになりました。仕事しながらだとこうなるのか。。。

また育休中だと昼間も活用できるので、まったり進めても報告書は(量的には)順調に進むんですが、先生から進み具合についてお褒めの言葉をいただけたときはうれしかったですね。
褒めると伸びるタイプです。
「育休中なんで…」とか返すと見る目が厳しくなりそうなので言わない。

3日目:報告書の読み合わせ

久しぶりに事務所に集合。各自の報告書を読み合わせます。

アップされた報告書はお互いに確認しこまめに意見を交わしあっていたのですが、スクリーンに映して見てみると見え方が変わるものです。
先生を中心に大量の指摘がでてきます。

お昼休みを挟んで4人分が終わったのが15時半、そこから2時間かけて修正。
そこからファイルの統合などになにかと時間がかかり、作業が終わったのは19時。
さらに帰り支度をしていると先生からありがたいお話を頂くことに。
先生あれですね、帰る前に俺の話を聞いていけ!っていう典型的な寂しがり屋おじさんですね。
19時20分に解散。

今日も子どもたちをお風呂に入れてあげられなかった…と小さくなりながら妻も待つ家に帰るのでした。
まあでも報告書の内容は固まったし、あとパワポ作ればおしまい!

4日目:プレゼン三連星

そんな甘くなかった。

4日目は報告書がほぼ完成しているのでプレゼンを3回やるというのは初日に先生より予告されていたのですが、大変でした。
そもそも3日目までは報告書にのみ集中せよという感じで、指摘もかなり多かったので、パワポに全く手を付けていないメンバーもいました。

4日目の流れとしては、

  1. Wordの報告書を見ながらプレゼン1回目
  2. 1時間でパワポ作成してプレゼン2回目
  3. 1時間でパワポ修正してプレゼン3回目

というわけで、はなからパワポの作成時間も含んだ計画ですが、その時間はわずか各1時間
さすがにプレゼン2回目で皆さんが出してくるパワポは画像だけだったり途中までだったり。いや無理だよそんなもん
しかも一人20分目安の発表に対して先生が約30分ずつ指摘するもんだから(もちろんありがたい雑談つき)、そりゃあ定時で終わるわけないですよね。

プレゼン3回目は19時過ぎまでかかりましたが、指摘の量は減っても質は落ちず、皆さん持ち帰って修正せざるをえなくなったのでした。
あげく別れ際に先生から「皆さん睡眠はちゃんと取ってくださいね」と言われ(これは無意識の煽りかな?)と思わずにいられなかったのは私だけでしょうか。
20時前に解散。

なお私は3日目の時点でパワポは完成していました。
もともと報告書に図表はたくさん入れろということも言われていたので、私はパワポを駆使して組織図とか人材採用システムとか作成して、そのまま発表用スライドに転用していました。
ECRSのC(Combine)にあたりますかね。効率化、大事です。

2日連続で遅い帰宅にもかかわらず、妻は不満な顔ひとつ見せず私の体調を気遣ってくれました。
長男の寝かしつけをしながらふと「妻と結婚してよかったな」と改めて思えた4日目の夜でした。

5日目:報告会

いよいよ最終日です。
その後の反省会と診断協会への移動の時間を考慮して、社長への診断報告会は午後ではなく午前10時からとなっていました。
お昼には開放されるのはよいですね。

朝イチで各自のパワポを合体してから診断先企業に移動します。
そしていよいよプレゼン開始。通算4回目ということで落ち着いてしゃべれました。
しかしここで想定外の事態が。
同一デザインでと前日に示し合わせたはずなのに私のパワポだけデザインが違う
合体の際、修正前のものを共有してしまったようです。
私たちのような失敗をしないためにも、皆さん最後にもう一度、通しでパワポを確認しましょう…。

終わったあとに社長から「こんなのできっこない、という提言は一つもなかった」「自分がやっていることが正しいと言ってもらえてうれしい」「バイブルにします」というお言葉をいただきました。感無量です。

午後は反省会だったのですが、終わって気を良くされたのか、やはり先生の雑談で終了しました。
夕方に診断協会を訪問して所定の書類を提出します。

そしてコロナ禍ではありますが打ち上げの飲み会です。
今回の先生ならやらないわけがありません。
まあ以前は実務補習5日間毎日飲んでいたこともあるそうなので…。

この飲み会では他の診断士の方2名もいらっしゃいました。
新鮮な話が聞けましたし、名刺も渡せたので参加してよかったと思います。
こういう繋がりから診断実務が舞い込んでくることもあるようです。

とはいえ3日目と4日目が夜遅かったので妻と子どものためにも18時半で抜けてきました。
2日目と同様に遠方に帰るメンバーがいたので、便乗させてもらいました。
子どもと一緒にお風呂に入る幸せ……。

まとめ

第1クールは補習だし5日間でやれるところまでやりましょう的なところもありましたが、第2クールは最後まで質に妥協せずという感じで、より実務っぽかったです。
ヒアリングも長く診断先企業をよく知ることができましたし、数多の修正で報告書やパワポも完成度が上がっていきました。
もしお金をもらう側になったら全力を尽くす、言われてみれば当たり前のことを改めて教えてもらいました。

またヒアリング3回した感想としては、やはり時間さえあればたくさんやるに越したことはないです。
今回のヒアリングでも、3回目にして「従業員の定着率が低い」「社長がワンマンで何でもやらないといけない」という問題点をあぶり出すことができたので、確かに大きな意味がありました。

これは私の好きな「99.9」というドラマと重なるところがありました。
松潤の演じる主人公の弁護士・深山は接見でいつも依頼人の生い立ちから聞くんですね。
もちろん事件のことも聞くのですごく長い時間がかかるのですが、そこで聞いたことが後で必ずストーリーに生きてきます。

ただ一日に2回やるのはあまり意味がないかなと。その間の時間が短すぎて深堀りした質問を考える余裕はないですし、診断先企業への往復の時間ももったいないです。

あと気をつけたいなと思った点がありまして、私がヒアリングするとどうしても形式的な質疑応答になってしまうんですよね。
アンケートの質問事項を上から読み上げているかのように。
同じチームで営業職のメンバーは雑談から入り、一つの回答に対して話題を広げていく話し方でどんどん情報を聞き出していきます。
非常に上手いなと感じたので、勉強になります。

ただ今回の実務補習を語るうえでかかせないのが、先生の話がとにかく長い
ちょっとした指摘でも5分は軽くしゃべります。
おまけに雑談が数十分レベルで長いし、頭の中のネタ帳に書き留めた渾身のネタなんでしょうね、1日目2日目にした雑談が3日目以降に再度出てきます。
もっとも、独立診断士が仕事を取ってきたり存在感を示していったりするには、雑談は非常に大事ということなんでしょう。

あと時間管理の感覚があまり無かったですね。
「パワポは4日目から作るから」と指導員に言われたらその通りにしちゃうメンバーもいるんですよ。

ともあれ第2クール、これにてお開きです。妻に大感謝!

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