1次試験の勉強方法(3)企業経営理論

中小企業診断士

このブログでは、ごく普通の30代男性会社員が9ヶ月と長期の育休取得し、 その期間も生かして独学で中小企業診断士試験に合格した体験を発信しています。

今回は一次試験の科目「企業経営理論」の独学・無理なし・コスパ良しな勉強方法を独自色強めに紹介します。

「企業経営理論」の概要

二日間にわたる1次試験のうち、一日目の第三科目である「企業経営理論」。簡単に言えば経営学に関する知識を問う科目です。1次試験案内によれば、さらに「経営戦略論」「組織論」「マーケティング論」に分類されます。

午後の科目らしく全41問と多いうえ、選択肢の表現が難解で読解に時間がかかります。さらに、他の科目はほとんどの設問が4択ですが、「企業経営理論」だけ全て5択という鬼畜仕様のため、試験時間90分でも時間がぎりぎりな印象です。

そんな特徴から、午後一番とはいえ眠くなる暇は無く、頭をフル回転させるためにむしろエネルギー不足気味になります。おなかいっぱいになると眠くなるのでお昼は食べないという方もいるかもしれませんが、まさに経営診断の基盤となる本科目では眠くなるような受験生はいないと思いますので、ある程度はおなかに入れておくことをおすすめします。

「企業経営理論」の合格テクニック

「企業経営理論」は中小企業診断士の活動の基盤となる知識であり、受験生の皆さんは特に力を入れて学習されるかと思います。とはいえ限られた時間を活用して1次試験7科目を合格するためには、ある程度の合格戦略を立ててから効率的に取り組まなければなりません。私の考える「企業経営理論」の合格テクニックは、主に以下の3つです。

  • 問題集や過去問で選択肢の難解な文章に慣れる
  • 用語を完璧に理解するより消去法で正解を導く
  • 過去問で試験時間の感覚をつかむ

特に2番目については、テキストをみっちり理解するだけではなく、私のようにコスパ重視で乗り切った合格者もいるということ、何かしらの参考になれば幸いです。

それでは順番に解説していきます。

問題集や過去問で選択肢の難解な文章に慣れる

「企業経営理論」の選択肢は難解な言い回しが多く、もっともらしいことを言っている中から間違いを見つける作業が必要です。問題集や過去問の演習を何度も繰り返すことにより、この難解な文章に慣れることを目指します。この段階では正解にたどり着くのは簡単ではありませんが、ステップアップのために我慢が必要です。

なお私は学習が後半に差し掛かってから自分の実力を試すために過去問を使いたかったので、学習の前半で選択肢の文章に慣れるためには問題集のみ活用しました。問題集も過去問とよく似た質問形式・表現になっていますので、十分に練習になります。とはいえ他の科目と並行して進めていると前に解いた問題も細かい部分までは覚えていないので、問題集を使わず過去問から入ってもよいかもしれません。(問題集を買わずに済むのでコスパも抜群ですね!)

用語を完璧に理解するより消去法で正解を導く

用語の意味をほぼ完璧に覚えないと正解が選べない暗記科目と「企業経営理論」は少し異なります。選択肢を不正解とするには、とにかくどこか間違いが指摘できればよいので、ひととおりの専門用語の意味を8割方理解していれば大丈夫です。これだけでも、私的イメージでは、設問の3割は5つの選択肢を1つまで、設問の6割は2つまで絞れます(残りの1割は全くわからない問題)。そして2つで悩んでも「どちらかと言えば正解っぽい」ほうを選ぶと7割くらいは当たるので、期待値として70点くらいには到達します。

つまり、本格的なテキストにあるように体系的に理解するところまで完全にいかなくても、一次試験なら何とかなるということです。

メリットとしてはなんといっても時間の節約です。中小企業診断士を目指す方は「企業経営理論」を意欲高く勉強されると思いますが、あまり注力しすぎると他の科目がおろそかになりかねません。集中力の維持や費用・時間の消費量を考慮すると、基本的に一次試験も一回の受験で全科目合格を目指すべきなので、問題演習で相当程度の正答率が出せるようになれば、苦手科目にシフトすべきです。

デメリットとしては、やはり体系的な理解が十分でないので、これまでの傾向より深掘りしたほうな設問が出たとしたら対応しづらかったでしょう。また類似の知識を多く使用する二次試験の事例Ⅰで差がつくかもしれません。まあ私は二次試験もテクニックを重視したのですが…。

なお私の感覚では、消去法が使えるのは主に「経営戦略論」「マーケティング論」です。「組織論」は単純に完全な知識が無いとどうしようもない問題もいくつかありますね。そういう問題には深入りせず解く候補自体から消去していましたが。

過去問で試験時間の感覚をつかむ

問題の形式に慣れ、自分なりの解き方が見つかれば、いよいよ本試験を視野に入れて試験時間の使い方を考えていく必要があります。

「企業経営理論」は試験時間90分で全41問とやや多く、さらに難解な文章の読解に時間がかかるため、7科目の中でも特に試験時間がぎりぎりとなる印象です。自分の解くペースでちゃんと問題の最後まで進められるのか、90分を測って解いてみるべきです。もちろんこのときは問題集ではなく過去問そのものを使用するしかありません。

私流「企業経営理論」の勉強方法

さて8割方覚えればよいと言われてもどうやればいいのよ、という話になるわけですが、コスパ重視の私が取った方法が以下になります。

テキスト

知識の習得(インプット)はTACのポケットブックしか使っていません。専門用語の意味はポケットブックで6割方理解し、問題集の解説で8割方理解し、気になればインターネット検索でプラスα、というイメージでした。

やはり本格的なテキストが無いと…という方はもちろん購入すればよいと思います。ただその場合も、「イチから完全に理解しよう」と思って読み込むのはかなり時間がかかるので、問題演習も織りまぜてサクサク進めないと効率的ではありません

問題集

他の科目にも等しく言えることですが、インプットだけでなく問題演習(アウトプット)で理解度を把握し、現在地を知ることができます。正解を重ねることによるモチベーションの維持向上も図れます。私はTACのスピード問題集を使用しました。

本試験と同じく選択式で、正答を当てることも大事ですが、合わせて誤答がなぜ間違いなのかも答えられるように意識しました。こうすることで、選択肢全ての知識を得られ、一問あたりの価値が4〜5倍になります。

ちなみに問題集は2021年度版ではなく2020年度版でしたが、特に問題ありませんでした。

過去問

「企業経営理論」のスピード問題集は、本試験とよく似た問題形式で作られていると思います。ただそうは言っても、時間を測って本試験の感覚を掴むために、過去問演習は必要だと思います。

過去問についてもTACの過去問題集を使用しました。本試験と同じ時間を取り、一年分をまるごと解いて、その後に解説もじっくり読んで、とかなり時間をかけました。

問題集と全く同じことですが、正答を当てるだけでなく、誤答が間違いである理由を答えられるところまで到達するのが理想的です。特に本試験の選択肢は全体として誤りであっても前半だけ・後半だけは正しい、といった記述であることも多いので、解説を確認しながら理解していくことで、得られる知識量が非常に多くなります。ここまで来て、先に述べた8割方の理解に到達します

スケジュール

「企業経営理論」の学習は、7科目のうち3番目、「財務・会計」と同じく2020年4月に開始しました。私の勤める会社がコロナ禍で出社制限措置を取ったころで、技術職であり出社しないと業務が進まないため、テレワーク中は非常に暇でした。それもあり、中小企業診断士試験の勉強を開始(再開)することにしました。

一次試験の1年4ヶ月ほど前に開始しましたが、初めの約7ヶ月(〜11月)で問題集を4周、その後1月から本試験までの約7ヶ月で過去問5年分を3周にとどまりました。

直接的な理由は周回数を他の科目と合わせたというだけですが、あまり理解を深化させすぎると時間が足りなくなると考えていた「企業経営理論」、先に述べた通りテクニックに頼るだけなら、この周回数でうまく切り抜けられました。

特に過去問は同一年度を3ヶ月おきに解き直すため適度に忘れていて、かえって効果がありました。それでいて80点くらいは安定して取れるようになったので、おそらく大丈夫だろうと本試験に挑むことになります。

私の試験結果は…

以上のような勉強方法により、私が令和3年度の一次試験「企業経営理論」であげた得点は…

71点
※自己採点

得意科目というわけでもないので、十分満足な点数です。ただ科目合格率が34.7%と近年まれに見る高さだった恩恵も受けたかもしれず、むしろ「中小企業経営・中小企業政策」よりも危うかったかもしれませんね。

私のように主にテクニックに頼る方は特に「企業経営理論」では珍しいかもしれません。ただ直前期には過去問演習で80点以上が取れていたので無鉄砲というわけでもなく、それなりに合理的な方法だったなと振り返ります。

もっとも2次も含めテクニック主体で合格すると実務で苦労しかねないので、その場合は合格後こそ継続的な学習が欠かせない科目ですね。

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