実務補習3回目の感想~スタートライン

中小企業診断士

このブログでは、ごく普通の30代男性会社員が9ヶ月と長期の育休取得し、 その期間も生かして独学で中小企業診断士試験に合格した体験を発信しています。

長かった15日間コースもついに最終の第3クールが終わりました。
感慨深いものがありますね…。
感想を書き留めていこうと思います!

実務補習とは?

実務補習とは、中小企業診断士試験合格者(もしくは登録更新希望者)が4~6人程度のチームを作り、実際の中小企業を対象に経営診断・助言する実務経験を積む場。
1社につき5日間ですが、診断士登録には15日間の実務が必要になるため、合計3クールを経験するパターンになります。

私は3月まで育休ということもあり、令和4年2月の15日間コースに申し込みました。
5日間×3クールを1ヶ月半で消化することもあり、クールごとのインターバルが短いのが15日間コースの特徴ですが、

そのほかの地区は実務が金・土・土・日・月でクールごとのインターバルが火・水・木の3日間であるところ、名古屋地区だけ実務が木・金・土・日・月なのでクールごとのインターバルが火・水の2日間しかないという謎のハンデに苦しめられることになります。

また年度によって異なるそうなのですが、今回は計3クールとも同じメンバー4人でチームを組みます。

より詳しい説明は第1クールの記事をどうぞ↓↓↓

はじめての実務補習
中小企業診断士の登録に向けた最後のハードル、実務補習が始まりました。実務補習の概要と、第1クールの感想を紹介します。

また実務補習にあたっての準備と心得は以下の記事をどうぞ↓↓↓

中小企業診断士・実務補習にあたっての準備と心得
実務補習で得られるもの、気をつけなければならない準備と心得を紹介します。実務補習を受ける予定の方はぜひ参考にしてみてください。

実務補習第3クールの感想

7日前〜前日:担当決めと企業情報収集

第3クールのキックオフは開始7日前、第2クールの途中から始まります。
やはりインターバルが2日間しかないのでやむをえないでしょう。

先生から送られてくる企業情報はホームページのアドレスだけです。
このほうが自分でちゃんと調べに行くのでいいと思います。
過多な情報で第2クールに集中できなくなってもいけないので。

担当は第1クール・第2クールと同様に経営戦略・営業戦略・労務戦略・財務戦略です。
私は育休で比較的余裕がありますし、向いていないとわかっているリーダーをこの機会にやりたいと思い経営戦略を希望、その通り担当となりました。

この時点で第2クール3日目なのですが、そちらが佳境に入っていくところだったので、第3クールのことはいったん忘れられることになります。

第2クールの感想は過去の記事をどうぞ↓↓↓

実務補習2回目の感想~本当の始まり
中小企業診断士の登録に向けた実務補習15日間コース、真ん中の第2クールの感想です。第1クールとは異なり、あらゆる意味で本格的な経営診断の経験となりました。先生のキャラも大変に濃かった。

1日目:ヒアリング

濃密な第2クールの思い出も覚めやらぬまま、第3クールのスタートです。
今回の指導員の先生は、物静かな方でした。クールごとの振れ幅が大きい!

まずは名駅エリアの貸会議室に午前集合です。4日目まで使う会議室で、他の班もいてかなり賑やか。
簡単に自己紹介したあと、ヒアリング内容の確認です。

第1クールと第2クールのリーダーは活発に発言する方だったので自ずと主導権が行きますが、私は静観するタイプなので他のメンバーが発言するのを聞き、たまに軌道修正するくらいでした。
良くも悪くも放任タイプです。

これまでの企業の中で現時点の情報が最も少ないので、「まずは聞いてみて考えるか」みたいに軽い感じで終わりました。
皆さん3回目ともなると余裕が出てきます。

移動と昼ごはんを挟んで、午後から診断先企業のヒアリング。社長だけでなく部長や従業員など多数に出席いただきました。
まずはリーダーの役目として、挨拶をぎこちないながらも終えます。

ところが社長が仏頂面で開口一番、「で、今日は何しに来たの?」
強烈な先制パンチを食らいました。

すかさず先方の部長が事務的な説明を社長にしてくださったのですが、時すでに遅くアワアワするしかない私。
経営戦略担当にも関わらず、いきなり細かい質問ばかり浴びせてしまいます。
あまり大した情報が得られないまま15分ほど過ぎてしまい、しびれを切らした指導員の先生から「もっと経営戦略の質問して」とつつかれる始末。

率直に「社長は何を困っていますか?」と聞いてみると、やっと課題の核心に触れることができました。
経営理念は立派に掲げていますが、それを達成するには事業の範囲が限定的で、しかも現状に満足してしまっていることがわかりました。赤字が続いているにもかかわらず。

この前提のおかげで、他のメンバーからの個別戦略の質問もスムーズに進みました。
落ち着かせてくださった先生に感謝です。

ヒアリングは17時で終了、1日目の予定はこれで終わりなので、現地解散です。
ヒアリングは4時間ほどで十分に聞けますし、明るいうちに帰路につけますから、このスケジュールが最適ではないでしょうか

2日目:SWOT分析と方針決定

2日目の午前は、各自が分析したSWOTの読み合わせから始まります。
やはり皆さんからも、事業範囲が経営理念を十分に反映しているとは言えない点、現状からの成長意欲が薄い点が弱みとして出てきます。

幸いにして大きな機会が訪れることがわかったので、それを利用して経営理念に即した新規事業に進出することを提言することにしました。
その新規事業の特徴や進出の根拠を提言するまでを経営戦略で担当、という全体の流れを決めて午前はおしまい。

午後からは、新規事業に必要な活動を営業・労務・財務の観点から各個別戦略で提言します。
どうしても個別戦略(特に営業)は最初のうち細かいアイデア出しになって、だらけた雰囲気になってしまったのですが、先生から「我々はマーケティングは素人なんだから具体的なアイデアばかりでは説得力が無い
ビジョンに到達するための一般的な手段を論理的に提示して、その一例を2、3挙げればよい」とのアドバイス。
これはかなり腑に落ちました。

そこからは3Cや4Pといったマーケティングのツールを駆使して営業戦略を立て、そのためには足りない人材面・組織面のパーツを労務戦略で補っていきます。
財務戦略は既存事業の問題点を指摘しつつ、新規事業を収益性の観点で軌道に乗せるための管理手法を提言します。

17時過ぎに解散するころには、報告書に書く内容について各自が既に骨子を組める状態まで到達できたと思います。
この日も先生の軌道修正がクリーンヒットしました。

2日目と3日目の間:報告書の作成

中休み…というわけではなく、各自で報告書を作成する期間です。
第2クールにて、途中でもいいので定期的に報告書を共有するようにしていたのですが、それが好評だったので、第3クールでも続けることにしました。

初めて担当する経営戦略ですが、企業活動や事業の範囲を確定するまでの流れは2日目で共有していたので、筆が進みました。
ところが新規事業を軌道に乗せる段階の課題や提言は、個別戦略のまとめみたいな感じになってしまうので、他のメンバーの共有を待ってから、内容を確認して自分の報告書に反映することにしました。
第2クールほど順調ではなかったですが、それでも育休中だけあって昼間を中心に無理なく記載を進め、ファイル共有の目安としていた水曜日までにほぼ書き上げました。

おなじみの報告書作成スタイル

水曜日に指導員の先生に中間チェックしてもらったのですが、以下の指摘をいただきました。

  • 提言チャート(報告書を一枚にまとめたもの)を羅列でなく流れで書くこと
  • 現状の事業範囲から広げるうえで何が問題でどうしていくかを書くこと
  • 全体的に表現がキツイ

はじめ2つは、私たちは頭の中でわかっているが、先方も理解しやすいよう構成を見直せ、という意図と理解しました。
そして最後は、、、見返すと確かに、、、「社長をはじめとして収益性の意識が薄い」「経営理念を実現しているとは言えません」など。
間違いなく課題は深く多いのですが、だからと言って強く言ってしまうと、気難しい社長のことです、聞く耳を持たなくなってしまいますよね。

その後は微修正を繰り返し、ついでにパワポもおおかた作り、一週間は過ぎていきました。

3日目:各自の報告書の読み合わせ

久しぶりに集まって作業です。
午前は各自が作成した報告書を読み合わせ、主に内容が他のパートと整合しているか確認します。
定期的に共有しており、また先生の中間チェックも入ったので、大きな路線変更は無く、ひと安心。

全体戦略としては、個別戦略の提言をまとめるセクションが最後にあるので、個別戦略の変更に合わせてそこも修正します。

午後にもう一度読み合わせ、内容的にはおそらく大丈夫だろうということで、報告書を結合(いわゆるマージ)するところまでやって、17時で解散しました。

非常に順調だね、と指導員の先生にもお声がけいただきました。
メンバーの皆さんの頑張りのおかげですね!

4日目:報告書の印刷とプレゼン練習

前日にマージした報告書を最後にもう一度みんなで見直します。
ここで、内容は特に変更なかったのですが、段落のインデントとか字下げのルールがバラバラであることが判明します。
これを合わせる作業に午前いっぱい費やしてしまいました…。
全角・半角やフォントなどのルール(いわゆるワーディング)は事前に共有していましたが、段落の書式についても合わせればよかったというのが反省点です。

ともあれPDFに変換し、昼ごはんを挟んで印刷と製本に向かいます。
第1クールでもそうだったのですが、移動時間を節約するため、定番である業者への一括注文ではなく、コンビニでプリント、自分でレールクリアホルダー(名前よく知りません)に挟むことにしました。
ちゃんと形になるものですね。

その後はパワポ作成ですが、皆さん前夜に進めてくださったようで、ほどなくしてプレゼン練習へ。
今回の指導員の先生は、プレゼンに関して細かいことは言わず、報告書と話が合っていること、時間が大幅に長くなったり短くなったりしないことのみチェックされていました。
皆さんプレゼンがどんどん上手になっていくのでうらやましいです。

各自のパワポも早めに修正が終わり、統合してもまだ16時半。
「早めに切り上げましょうか」
先生、最高です

5日目:診断報告会

ついに迎えた最終日。
朝に診断先企業の最寄り駅に集合し、午前の診断報告会に向かいます。

初日のヒアリングと同様、社長や部長、従業員が一通り揃います。
最終日もリーダーらしく冒頭の挨拶をこなし、発表スタートです。
私の発表が少し押してしまい申し訳なかったのですが、その他はメンバー含めておおむね順調に発表を終えることができました。

ところが質疑応答にて、社長から「理論はそうだけど、実際できるのそんなこと?具体的にどう進めて、人手がどれくらい必要かを教えてくれるもんじゃないの?」と一喝。
いやいや程度にもよるけど基本はコンサルって理論を紹介して、あとの実践は会社に任せるのが普通なんですが…。

いきなり無下にするのもどうかと思ったので、「世の中でもよく知られた営業戦略なのでうまくいく可能性は十分にありますよ」のように答えたのですが、社長は納得いかない様子。
その後も終了時間まで診断内容への反論(愚痴?)が続けられました。

あとで先生から聞いたところでは、SWOT分析で挙げた弱みは、これまでもコンサルや監査で何度も指摘されていたとのこと。
社長にとってはこれまでの会社の活動を否定された気持ちになり、つい不満が爆発してしまったのでしょう。
そもそも聞いてもらえる雰囲気づくりというのが大切だったかもしれませんね。
これは今後の反省です。

ただ、同席された部長は非常に納得してくださったそうで、お礼のお言葉をいただきました。
部長がうまく潤滑油の役割を果たすことができれば、新規事業への進出や会社の立て直しも可能ですね。

質疑応答で洗礼は受けましたが、ともあれ報告会まで終了です!
終わり良ければすべて良し、といった格好でメンバーの皆さんも足取りがどこか軽やかです。

午後は指定された時間に診断士協会まで移動。二次試験の合格証書や住民票の写しなど、必要書類を提出します。
あとは協会のほうでよろしくやっていただき、中小企業診断士登録の申請も完了です。
数ヶ月後に届くはずの登録証が楽しみです。

最後は先生とメンバーで遅い昼ごはんを居酒屋で食べました。
反省会ということでしたが、先生から十分な出来だと褒めていただき、達成感と安堵感でいっぱいになりました。
それもあってか、メンバーのうち二人はお酒を楽しんでいました。
第3クール、そして15日間の実務補習を通じた思い出話に花が咲きます。
コロナ禍でささやかながら、打ち上げはいいものですね。
(私は最寄り駅まで自転車で来ていたのでお酒は遠慮しました)

夕方、半年後か一年後には必ず同窓会しよう、と誓いあって、一人また一人と、各々の帰路へとついていくのでした…。

画像はイメージです

まとめ

今回は経営戦略、リーダーを担当してみました。
課題自体は明確で、自信を持って事業選択を提言し、個別戦略につなげることができました。

社長はアレでしたが、部長をはじめ従業員は納得感を持っていただけたようなので、達成感がありました。
実際に具体的な施策を打てるかは、あちらの意欲次第です。

個人的に第3クールの指導員の先生は最も相性が良かったです。
こだわり過ぎることはなく各自の個性はそのままに、でも柱はブレないよう軌道修正してくださる、私もこういった管理職になりたいなと感じました。

一方、リーダーとしての反省点、というより不満になってしまうのですが、実質ただの雑用係に終止した感はありました。
備品を持つのも、資料をマージするのも、報告会のパワポ用パソコンを準備するのも全てやりました。
ちゃんと周りに振れよと言われるかもしれませんが、指導員の先生が指名してくるので拒否しづらいです。
指導員、ひいては協会の意識から変えたほうがいいですね。
第1クールと第2クールでリーダーを務めたメンバーには改めて感謝です。

ともあれ、3クール通じてになりますが、メンバーには非常に恵まれました
強みもバラバラで補完しあえましたし、かと言って尖り過ぎる人もおらず、常に同じ方向を向いて、毎日を円満に終えることができました。
同窓会をやれる日が非常に楽しみです!

登録に向けた実務補習はひとまずゴールとなりましたが、診断士としてはスタートになります。
今後の診断士としての活動を考え始めるスタートラインに、いま私は立つことができました。

最後に、15日間という長い間、昼間のワンオペ育児を引き受けてくれた妻には感謝しかありません。
これからの日々、少しずつになるかもしれませんが必ず、恩を返していければと思っています。

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